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       平成十四年十月の短歌


     十月二日
追補三首:

「山上の天守閣から 焔々(えんえん)と燃えし瘤山意外に近し」

「伊吹山ドライブウエイより眺望する琵琶湖は秋の陽に白く炎(も)ゆ」

「雲破る斜陽が琵琶湖を射し照らす荘厳(しゃうごん)を拝む伊吹山より」

{一首目:半年ほど前に山火事がありました。数日続いたと思います。2ヶ月ほど前にたまたま現場を見ました。山火事というものを初めて実感したものです。その山が、先日行った山城、岐阜城天守閣から、意外に近くに見られたのでした。二首目と三首目は、最近の伊吹山ドライブでの嘱目です。}


     十月三日
「上層ほど男子出生多くなり人口操作にゆがむ中国」

{出生率が、平均で男子対女子=150対100、上流階級ほど男子出生が多く、220〜230対100という中国。つまり、上層階級の出生は、男子が女子の2倍以上という異常さ。一人っ子政策の悪弊ここに極まる。今は産む前に赤ちゃんの性別がわかるので、こういうことになる。それにしても、この一事ひとつとっても、現代でも、どの国でも、男性優位の社会であることを物語っています。子供の出世を願うには男子に限る、ということなのでしょう。人の種(しゅ)の保存の原則からしても、困ったことです。}


     十月五日
「物の影回転しながら伸びてゆき天動説の秋の日迅し」

「窓外にどっしりと建つビル群に光と影がうつろひ止やまず」


     十月九日

「空聖し秋雨前線押し遣りて汚れと怯えの世情を祓へ」

「オフィスは鉄筋ビルの中なれば残響伴ひ虫が音(ね)沁み来る」

「暗黒の廊下を行くに狙はれてゐたるがごとく突如灯が点く」

「大型のタンカー炎上−事故であれテロであれ吾が心にシミ置く」

「テロの影大国覆ひ爆撃の矛先さがし眼(まなこ)きょろきょろ」


     十月十一日

「七階建てビル全体が青白き網で覆はる野鳩避けむと」

「夕空を騒然と飛ぶ鳥たちに帰巣本能ゆさぶられけり」


     十月十二日

「湖(みづ)よりもなほ澄みわたる秋空に心ひらけば泪が映る」

「塵ひとつなき空のまま暮れてゆき氷の破片のごとき三日月」

「藍深き夕べの空の奥の奥凝視(みつ)め続けて魂(たま)染まりたり」


     十月十六日
花園また拉致

岐三重県桑名郡長島町にある〈なばなの里〉にて

「温室の全館ベゴニア咲き乱れ吾は〈花炎〉とふ語を思ひゐき」

「めくるめくベゴニア万華(まんげ)の狂ひ咲きわれら異界に迷ひ込みしや」

「人為とも言はば言ふべし〈なばなの里〉百花懸命に美を競ひたり」

「時を得しコスモス花中に妻沈めカシャカシャカシャとデジカメで撮る」

「ダリアの華大輪にして寄り添へる妻の顔より大きく重し」

「照明に浮かぶ夜間のコスモス畑かって知るなき幻妙世界」

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「北鮮の拉致被害者ら帰国して何はともあれ喜び溢る」

「『日本人拉致し殺してしまう国』失言なれど首相の本音」

「米国の大統領もその国を悪の枢軸呼ばはりせしかな」

「憎いから過去を精算和睦して二度と不幸の起こらぬやうに」


     十月十七日
核兵器?

「核兵器開発せしか北朝鮮狂人に刃物の喩へも叶はぬ」

「『北鮮が核開発』の報道がずしんと鈍く延髄打撃す」


     十月十九日
「雲去(い)なば日輪といふ 核爆弾はるかに凌ぐ希望あるはず」

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「曇天に樹下瞑想すさめざめと地中深きをゆく秋の水」


     十月二十一日

「秋の雨いつしか止みてビルの間が紺碧なるは洗はれし空」


     十月二十五日

「秋空が一糸(いっし)の雲さへ置かぬ日も地上に絶えず人の死闘は」

「橋上に鴉四羽が鳩を喰ふ獰猛さにも秋の陽そそぐ」

{二首目:実景です。}


     十月二十六日
思い様々
「母の郷国(くに)知らず在り経し乙女ゐて金日成大学に行くを夢とす」

「拉致のこと劇場占拠のことなどもやがて意識の外縁に去る」

「部屋内(ぬち)に思念する午後ましづかにおし包みつつ秋の霧雨」

「中国に恋が咲いたと告げられぬ〈未来の国〉が君を招(よ)ぶのか」


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