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平成14年8月の短歌


     8月1日
〈朦朧5首〉

「部屋内の気温が31度超し脳細胞さへ汗する気配」

「古人らの偉大さ示す一語とは『心頭滅却すれば火もまた涼し』」

「オランダとドイツで売春合法化!暑さで朦朧の脳も冷めたり」

「片側の性の欲望ネタとする人間最古の商売ありき」

「英語ではPROSTITUTION、別訳の<堕落>も併せて合法化さる」


     8月2日

「いづくより来し糸トンボ部屋のドア脇の芥にまじり横たふ」

「容赦なく照る真夏日の圧力を跳ねかへさんと大股で歩く」

「炎熱に汗噴きながら憶ひをり白川郷の紫陽花、葵」


     8月4日

「二千億個の五千億倍の星観つつ宇宙の縁を泳ぐ 夢にて」

「『宇宙人居るの?』と問ふ子に笑ひつつ『もちろん!君らがそうだ』と答ふ」

「五条川、岸辺深緑の桜並(な)み十数キロを辿りて快哉」

「インパチェンスはたペチュニアと助手席の妻は目敏く民家の花指す」

「何事もなき幸(さいはひ)の詰らなさ愚痴るは一生(ひとよ)の涯見ゆるゆゑ」


     8月5日

「虚しさを排除せる生希(ねが)ふとき炎天にして頭(づ)から星散る」

「癌宣告娘(こ)が受けしより愛妻はうろたへざるも常の精気なし」

「白鷺に青鷺まじりなほ暑き夏夕空の西へ消えゆく」

「幾億年続く筈なき人といふ種(しゅ)のはかなさや 明日原爆忌」

「人々の生に苦しむ知るほどに人を創りし神ふと憎む」


     8月6日

「グゥワーンクゥワーン、頭の中が鳴りつづけ無性(むしゃう)に虚し原爆の日は」


     8月8日

「文明は蓄積すれど一生(ひとよ)ごと進歩の終る心といふもの」

「高々と育つ積雲先のみに残照あるは希望か絶望か」


     8月9日

「広島の次は長崎そしてまた真紀子議員の辞職劇かや」

「長崎は小倉の替りやすやすと地獄の地図は描き変へらる」

「広島だ長崎だまた真紀子だとこの暑き日々を引っ掻き回す」

「辞職劇にマスコミのこの騒ぎやう貴重な電波を無駄使ひして」


     8月19日

「北海道旅行のツケさこの暑さ されど木の葉は秋の戦ぎす」


     8月20日

「薄暮なる構内になほ余波の風 大樹藍青(らんじょう)の闇を揺らせり」

「昨夜までクーラー使ひ今宵はや窓ガラス下げて走るに涼しい」

《「藍青」の振り仮名は旧仮名なら「らんじゃう」。》


     8月22日

「カーラジオ ショパンの軽きピアノ曲流すに車外は虫が音(ね)繁し」

「街灯の間(あはひ)ほの闇 ひとしきり松鈴虫の声が昂(たか)まる」


     8月21日

「満月に少し足りない月が浮き同じ形の心を照らす」


     8月25日

「繁華街 くさぐさの香の匂ふ中ああ回春の薫(かをり)あるかな」

「路地裏を通るに夕餉のさまざまな匂ひ漂ひ亡母(はは)憶(おも)はしむ」

「車道には排ガス焼けゴム臭(にほ)へるに今宵混りぬ味噌汁の香が」


     8月27日

「街に入り騒音あれどカーラジオ流すシャコンヌ聞きわけてをり」

「路地ゆくにふと流れ来しこの薫(かをり)いつかどこかでかぎしことあり」

「ふと薫り来し香なつかし少年期好みてかぎしが何かは知らず」

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