「明けやらぬ寒空おほひ鴉らが塒（ねぐら）より飛ぶ大音声（だいおんじゃう）たてて」（梧桐）

「ある時は幾十年も忘れゐし唄がとつぜん口衝き出づる」（梧桐）

「ニュートンは観察事実を数式化、今は数式から宇宙を論ず」（梧桐）


「いかにして意識で捉へイメージせん数学で言ふ“虚数”なるもの」（梧桐）

「満月を「寒兎」と詠ふは五十六民族十三億人をかかふる隣国」（梧桐）

「雲の下を走る雲見ゆ冷えまさる地表の気流に乱れあるべし」（梧桐）

「人間に超能力はたしかに有る。たとへば楽器の超絶演奏など」（梧桐）

「暗算で十桁の掛け算瞬時になす人あり超能力の一つにあらずや」（梧桐）

「唐突に口衝き出づる唄いろいろ脳髄はいかに選曲なすや」（梧桐）

「先とがる固き蕾を宙に立て辛夷はしづかに時を待ちをり」（梧桐）

「濃淡はあれど記憶にのみ残る人等いや増し脳よりこぼる」（梧桐）

「違憲なら憲法変えると言う首相、いよいよ独裁者の匂い強める」（梧桐）

「日米韓で“北”に対応といつも言う。どうして日中韓ではないのだろうか」（梧桐）

「中国を外していつも日米韓。日米韓は近接三国なの？」（梧桐）

「沈みゆく難民ボートを観し刹那、脳より尻へ雷（いかづち）走る」（梧桐）

「殺さねば消えぬがほどの憎しみとはいかなるものかと思ふことあり」（梧桐）

「先人の布石も組込みしコンピューター、プロ棋士に勝ちても不思議にあらず」（梧桐）

「いつ死ぬか解らぬものを死の準備など直前までは出来そうにない」（梧桐）

「“経済”は近代の語と覚えしに唐詩にも見て眉間を割らる」（梧桐）

「解き放たれ無念夢想に落ち入るとき奥入瀬渓流が脳底に鳴る」（梧桐）

「出来るだけ多くを殺さんと知恵絞る。人間の尊厳などと言えたものかは」（梧桐）

「同じ種（しゅ）で殺し合うのは人間だけ。人間の尊厳などと言えたものかは」（梧桐）

「無名なる歌人の短歌（うた）の中にして思はず「すごい」と唸る作あり」（梧桐）