「近隣の古墳群また茶畑など妻と巡りしを想ふ 晩酌に」（梧桐）

ーーーーーーーーーー

「天気図の示す通りに前線の過（よ）ぎりゆくらし夜の驟雨は」（梧桐）

「心底（しんそこ）から祈れど殺し合ひはなくならぬ。所詮人間の祈りなればか」（梧桐）

「隣り家（や）に残れるあまたの過熟柿に我が家の雀も混じり群がる」（梧桐）

ーーーーーー

「石ころが屋根に並ぶと見えたるは寒風に固まる雀らなりき」（梧桐）

「石ころが屋根に並ぶと見えたるは寒風に固まる雀らなりき」（梧桐）

「うちつけに大きな満月が顔に当たる。日の出前外に出て西方見れば」（梧桐）

「真っ直ぐに焼却場よりのぼりゆく仏の煙は重さ無ければ」（梧桐）

「天気図で南東に低気圧があるときはその方角の空を気にする」（梧桐）

「人類の繁栄はよけれキリンさへ絶滅危惧種へ追ひ詰めし罪は」（梧桐）

「削り節の薄片食みつつこれほどに鰹を虐ぐる残酷さ思ふ」（梧桐）

「オーロラに倣ふがに絹雲が空いっぱいにうねりて見る見る形変へゆく」（梧桐）

「しづしづと夜は更けゆきて樋落つる滴の音に降り初（そ）めし知る」（梧桐）

（梧桐）：

「武器作り続けて在庫が常に溢れその捌け口を求むるアメリカ」

「アメリカで銃砲店強盗が日に一件余発生するとふ　何といふ国だ」

「銅色（あかがね）の朝焼け雲が水平に目線の高さで漂うて荘厳」（梧桐）

「数に驕り高速炉とかカジノ法など悪政をやる気か現政権は」（梧桐）

「どの国の誰もが「世界」を易々と口にす人間の進歩の証（あかし）に」

「札（さつ）刷り過ぎやがて貨幣価値下落、超インフレから大恐慌へ」（梧桐）

「生きてある限り心に滲（にじ）みくる汚れを洗ふ湧き清水あれ」（梧桐）

「戦争とは殺し合ひなりと知りつつもそれに傾く人の業（ごふ）あはれ」（梧桐）

「早朝の電線に並ぶ鴉らが音符を成してだみ声で唄ふ」（梧桐）

「‘朝食’は数世紀前まではごく一部の特権階級の食習慣なりしと」（梧桐）