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どのようなお仕事なのか、ちょっと分かりませんが、随分時間に制約された窮屈な生活のようですね。
「自転車で時間と競争する我も気付けば長袖 見上げる秋空」(じゅんこ)
長袖うんぬんは余分ですね。結句で季節感がわかるから。確かに、こま切れの時間で制約をされていると、却って時間の大きな流れが分からなくなるということがありますね。物事の細部に捉われていると、その全体像が分からなくなることに似ています。そうした時間感覚を歌に詠もうとされた点は、新鮮味があります。
添削・改作(口語新仮名遣い)(梧桐): 小刻みに時間に追われる日常にふと見上げればもう秋の雲」
「赤信号その一時に深呼吸 秋空仰いでこぎ出す自転車」(じゅんこ)
添削・改作(口語新仮名遣い)(梧桐): 「信号待ちの寸暇に秋空仰ぎつつ深呼吸してから自転車こぎ出す」
「深呼吸してから」が2字の字余りですが(「から」を外せばいいのですが)、ここはどうしても「から」を入れたいところです。まさに、ひと息入れてから、やおら自転車をこぎ出すという、その動作をはっきり表す(読者に印象づける)ために、この「から」が必要です。これを入れても、歌全体をひと息に読めば、そんなに気にならないでしょう?言葉遣いとしてそれが自然だからです。 この改作はいい歌ですね。 |
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